国動協の活動と沿革

これまでの活動

創立当初から所管の文部科学省学術機関課(当初は、情報図書館課)への各種要望や陳情を重ねつつ、動物実験施設の整備や施設運営上の諸問題の解決を通じて生命科学等の研究の発展に大きく貢献してきました。具体的には、全国立大学への施設整備を推進するとともに各施設の人的および経済的基盤の確立、適正な実験動物の飼育管理や遺伝的・微生物的統御、特殊系統動物の所在情報の共有と相互分与等を進め、特に全国的な腎症候性出血熱(実験動物から人が感染した人獣共通感染症)の発生時には、情報収集や対応策の策定に中心的役割を果たしました。

また、科学的かつ倫理面に配慮した適正な動物実験の実施のために、「実験動物の授受に関するガイドライン」や「感染動物実験における安全対策」などのガイドラインや資料の作成と普及、関係行政機関や実験動物関連団体への要望や提言も行ってきました。さらに、動物実験を現場で支える技術者の再教育のため、平成7年より「実験動物関係教職員高度技術研修」を実施してきました。これらの活動の主体は委員会やワーキンググループ(WG)であり、WGは具体的課題の解決のためアドホックな役割を果たしています。

最近では、実験動物あるいは動物実験に関連する法令、指針等の改正や策定が相次ぎ、カルタヘナ法および関連省令、げっ歯類動物の輸入届出に関連する省令、動物愛護管理法、実験動物飼養保管基準、特定動物基準、動物愛護基本指針、外来生物規制法などの制定あるいは改正時に、関係省庁への意見陳述、要望書の提出、パブリックコメントの提出などを行ってきました。実験動物や動物実験は社会的な貢献度が高いにもかかわらず、残念ながらその位置づけは曖昧かつ低いと言わざるを得ません。国動協は、これらの問題について特有な事情を行政側に説明し、法令や政策に反映させるため、関連学協会等の関係者と連絡を取りつつ、要望や意見書等を取りまとめてきました。

沿革(含・関連事項)

昭和42年 文部省学術奨励審議会による「大学の動物実験改善についての報告」を受けて大阪大学微生物病研究所に感染動物実験施設を設置
昭和46年 東京大学に医学部附属動物実験施設を設置
昭和47年 京都大学等に医学部附属動物実験施設を設置
昭和49年11月 京都大学医学部附属動物実験施設の藤原元典施設長の呼びかけにより、「国立大学動物実験施設長会議」として情報交換の場がもたれる。すでに動物実験施設を設置していた大学あるいは建設予定中の大学など10大学が参加
昭和57年 「国立大学動物実験施設協議会(国動協)」と名称を変え、施設長だけでなく施設運営に関わる専任教員、事務職員、技術職員の参加も可能とする組織へと変貌
〜平成7年 医学系国立大学のすべてに動物実験施設が整備される
平成16年 国立大学の法人化を受けて「国立大学法人動物実験施設協議会(国動協)」と名称変更を重ねる。現在、44国立大学法人および2大学共同利用機関法人および2独立行政法人の57施設が会員となっている

大学法人化により、動物実験施設の組織や名称は多様化し、医学部あるいは医学系大学院の附属動物実験施設、学内共同利用センターの動物実験関連の分野、研究所附属動物実験施設など、各大学等での位置づけは千差万別となりましたが、会員施設は各大学や研究機関における動物実験の中核的施設として活動を続けています。