国動協会長(2024-2025年度)挨拶
国立大学法人動物実験施設協議会 会長
東京大学ライフサイエンス研究倫理支援室
三浦 竜一
第50回国立大学法人動物実験施設協議会(通称「国動協」)総会におきまして、2024-2025年度の国動協会長に選出されました東京大学の三浦竜一でございます。二上英樹前会長のあとを引き継いで、皆様のご協力を賜りながら国動協の発展に貢献させていただきたいと考えております。微力ではございますが、2年間、どうぞ宜しくお願いいたします。
国動協は、1974年の国立大学動物実験施設長会議の創設以来、会員施設相互の緊密な連絡と協力により、国立大学法人における動物実験の精度と水準の向上を図り、実験動物の飼養保管と動物実験の適正化を進め、医学・薬学・生物学等の生命科学における教育、研究の推進に貢献して参りました。施設長会議から出発いたしました国動協は、現在では、それぞれの会員施設の施設長、専任教員、技術職員、事務職員、非常勤職員等が職域や専門性を越えて相互に連携しながら活動を続けており、創設からちょうど50年の節目の年である2024年時点で加盟施設は75施設となりました。
動物は、私たちの社会生活を支える、なくてはならない存在であり、人や地球が抱える様々な問題を解決しています。実験動物は、生命現象や生命活動を解き明かすとともに、人や動物の健康維持に強く関わっています。動物実験は、科学上の目的と必要性の十分な検討と最大限の動物福祉への配慮の上で計画され、高い精度・再現性・信頼性のあるデータが生み出されるよう慎重に実施されます。さらに、社会は新たな科学技術の開発と応用、安全な社会実装を求めてきます。動物実験はその要望に応えていくための重要な役割を担い、その役割が代替されることはまだまだありません。そして、我が国が採用し定着させた機関管理体制の下で、自己点検・評価、情報公開及び第三者による検証(外部検証)により、動物実験の適正性と透明性を広く示していくことが私たちの責務としてあることも忘れてはなりません。一方で、近年の経費高騰は動物が関わる新たな問題として教育・研究を大きく圧迫しています。また、担い手の減少も動物実験の行く末が案じられる深刻な課題です。私たちはこうした動物実験が抱える多様な課題に対して、会員相互の緊密な連絡と共有を図り活発な議論の上で解決できる国動協を目指したいと考えております。
国動協は、我が国の大学等における動物実験の適正な実施と関連分野の研究推進のために、これからも同じ目的を持った関連団体である公私立大学実験動物施設協議会、厚生労働省関係研究機関動物実験施設協議会をはじめ、日本学術会議、日本実験動物学会並びに関連学会等とさらなる連携を深めながら、実験動物の飼養保管と動物実験の実施に関わる立場として、その適正性と妥当性、必要性を社会へ向けて強く発信してまいります。そして、我が国における生命科学の発展と科学競争力の強化に寄与すべく、次の50年に向かって進めてまいります。